千葉市
<20政令市>日焼け止めクリーム、プールで半数ダメの訳
◇「水質に悪影響」理由だが、専門家は「水質は汚れない」
公営プールで日焼け止めクリームを使うことができるか自治体間で対応が割れている。毎日新聞が20政令市に尋ねたところ、半数が「水質に悪影響が出る」との理由で使用を禁止していた。一方、専門家は「日焼け止めクリームを使用しても水質は汚れない」と指摘している。
千葉市は九つの市営プールのうちレジャー型プール1カ所のみ「水に入る前に落とす」を条件に日焼け止めクリームを塗ることを認め、他の8カ所では使用を禁じていた。しかし、熊谷俊人市長のツイッターへの「見直してほしい」という市民の投稿をきっかけに今シーズンから使用を全面解禁に。6月末のプール開き以降、水質への影響は確認されていないという。
毎日新聞が20政令市に市営プールで水に入る際の日焼け止めクリーム使用の可否について尋ねたところ、屋外プールのある17市のうち、使用を許可していたのは千葉市を含め6市で、10市はいずれも「水質が悪化する」との理由から禁止にしていた。大阪市は「水質が悪くなるのを皆さん知っているからか使わせてほしいとの声はない」。相模原市は「利用者から使用したいとの声があるが、皆さんが利用する所なので入水時に落とすようお願いしている」と回答。同じく禁止にしている横浜、新潟両市は「皮膚が弱い」など相談があれば個別に許可しているという。
日焼け止めクリームはプールの水質を汚染するのか。大阪皮膚科医会が2007年に大阪府内の中学14校のプールで1シーズン終了後に調べたところ、使用禁止の学校と許可した学校でプールの残留塩素濃度など水質基準6項目に差はなかった。同会は「定期的に測定、管理し、補給水の追加をすればサンスクリーン剤(日焼け止めクリーム)を使用することに問題はない」と結論付けた。
日本臨床皮膚科医会と日本小児皮膚科学会も統一見解として「耐水性サンスクリーン剤を使用しても汚濁されないことは複数の実証実験で明らか」とし、自治体に使用許可を求めている。
文部科学省の指導の下で日本学校保健会が作成した学校のプールの保健衛生マニュアル09年度版には「水の汚れの要因となる」と記載されていたが、最新の16年度版では「日焼けしやすい児童生徒にはクリームを使用させてください」と変更された。文科省の担当者は「実験データからも水質に問題ないとされており、変更した」としている。
◇屋外プールのある17政令市の日焼け止め使用の対応
<許可>
札幌、仙台、さいたま、千葉、堺、神戸
<禁止>
新潟、川崎、横浜、相模原、静岡、名古屋、大阪、岡山、広島、北九州
<その他>
浜松(プールによる)